ボーリング
「次、美里の番!」 呼ばれてあたしは立ち上がる。 「よ〜し、見ててよ。全部倒してやるんだから!」 「ふん、やれるもんならやってみろよ」 「美里ちゃん、頑張って!」 手を離れたボールは一直線に転がった。 ・・・ガーターに向かって・・・・・・・・・・ 「あはははは!ひでぇ〜〜〜、ガーター一直線だし」 「う、うるさいなぁ〜拓斗!!」 そう、今日はみんなでボーリング。 ―――1年生も今のうちに関係作っとかないと後々大変だよ――― その言葉を胸に引っ掛けたあたしは、初の1年だけの遊びを企画した。 和希さんに言われたからというのも確かにあるけど、 あたし自身、みんなと仲良くなりたいという感情もあったのだ。 「これじゃぁ美里がかわいそうだし、チーム戦にしようぜ。で、負けチームはジュースおごりな!」 「・・・優しいんだか嫌味なんだか」 「素直に喜べよ。実力的に、美里は俺とだな」 「え?恭一ってボーリングうまいの??」 「俺だいたい普通に170超えるよ?」 「・・・・・・そうなんだ」 チームはあたしと恭一、唯と拓斗、百合と亮の組み合わせになった。 「ぷはぁ〜〜〜〜〜〜!!勝った後のジュースはおいしいね」 「おめぇーの実力じゃねーだろ!くっそ〜相手が恭一じゃなきゃ絶対お前のチームが負けだったのに!!」 「へっへーんだ!負け惜しみはかっこ悪いわよ、拓斗くん。・・それにしても一番安定してたのは亮と百合ちゃんのチームね。案外相性いいんじゃない?」 「そ、そうかな?でも足引っ張んなくてよかったよ。ありがとね、亮くん」 「いやいや、百合ちゃん普通に上手だったし」 「今度は絶対リベンジしなきゃね、拓斗!!」 「もちろんだぜ、唯!次は絶対負けねーからな!!」 「さてーじゃぁ今日はとりあえず解散としますか〜俺今からバイトあるし」 「あ、あたしも用事あるから帰るね」 そう言ってまず、拓斗と百合が帰っていき、順番にぞろぞろと帰りだした。 そしてたまたま変える方向が一緒だったため、美里は恭一と歩き始めた。 「あ〜楽しかったぁ!恭一には感謝しないとね、お陰でボーリングも勝てたし」 「それを言うなら、今日この企画してくれてサンキューな、俺も楽しかったよ。でも・・・なんで急に企画したんだ?」 「あ〜あたしがみんなと遊びたかったからってのもあるんだけど、和希さんにね、今のうちに仲良くなっとけよって言われたんだ〜」 「・・・・・・・和希さん、ね」 「え・・・・?」 「いや、なんでもない。ただ・・・気をつけろよ。高校時代、あの人あんまいい噂なかったから」 「ま、まさか〜〜。だってすごい面倒見いいし・・・。っていうかそんなんじゃないし!変なこと言わないでよ」 「まぁそれならいいんだけどよ」 このときあたしは恭一の言葉がちょっと引っかかりながら、気にしないフリをしていた。 自分の気持ちもごまかして・・・・。 |