夜遊び





♪〜♪〜〜♪〜


・・・・・・ん〜・・・・ケー・・タイ・・・・??

・・・・こんな時間に・・・・・・・・・・?


時計を見ると12時半を回っている。


イタズラ、だよね・・・・うん・・・


そう決め込んであたしは再び眠りにつこうとした。



が、

一向に鳴り止まないケータイに仕方なく起き上がる。


「・・・もしもし?イタズラ電話、やめてくれません?」


かなり不機嫌な声で答えた。


「あはははは!」


!!

「え!?誰??」

「夜中にごめんね〜。俺、和希です。今から遊びませんか〜?」

「い、今からですか?」

「そ、今唯ちゃんも誘ったら来るっていうから。あとは拓斗と恭一がいるよ。美里ちゃんもおいで〜〜!」


唯も行くんだぁ…。 眠いけど・・・でも、せっかくだし・・行きたいかも!


「じゃあ行きます!」

「よっしゃ〜!!じゃ、30分後に家迎えに行くから」

プツッ


・・・・・・・・・

きゃぁ〜〜〜〜〜!!!

着信表示、ちゃんと確認すればよかったよぉ・・・。

と、とりあえず急いで準備しないと!



―30分後―

「こんばんは〜。わざわざ迎えに来てもらちゃって、ありがとうございます!」


訪れたのは和希さんの車。

助手席に拓斗、後部座席に唯、恭一が乗っていた。

そして美里が後部座席に乗り込んで車は発進した。



「実はね、男3人でドライブしてたんだけど、どうも味気なくてね。てことで2人を呼び出したってわけ」

「あはは!それは光栄でぇ〜す。せっかくだからあたしもドライブしたいかも。普段は車なんてないからね…美里」

「確かにね」

「じゃせっかくなら夜景スポットでも行ってみるか〜。俺イイトコ知ってるんだ〜」


「「「「さんせ〜い!」」」」




走り出してどれくらいたっただろうか、車が走るのはとある山中。
車の中はこれ以上ないくらいのハイテンション。


「え〜〜!?3人は同じ高校出身なの??」

「あれ、言ってなかったっけ?」

「俺と和希さんが体育祭の応援団で一緒だったんですよね〜。あん時和希さんまじ怖かったんだぜ〜〜!」

「仕方ないだろ〜。俺上級生なんだし。ああいうのは厳しくやんないとまとまり出ないんだよ!それに拓斗は2年の中心だったし、そこに厳しく当たるのは当たり前なの!」

「すぐそういうんだから〜。ま、そのおかげで和希さんとは切っても切れない関係になれたわけですけどね」

「勝手に言ってろ。あ、もうすぐ着くぞ〜!」

「わぁ〜い!」




駐車スペースに車を停め、一向は車を降りて景色を見下ろす。



うわぁ〜〜〜・・・絶景って、こういうのを言うんだろうなぁ。



「おおお!すげ〜!!さすが和希さん、いいとこ知ってんじゃん。な、恭一!」

「ああ、久しぶりにこんな景色見たよ」

「だろ〜?もっと褒めとけ」

「あははは!何か言ってる〜。美里は感動中?」

「え、う…うん!ちょっと見入っちゃった」

「あ、あっちに望遠鏡あるぜ!」

「ほんとだ〜〜。大学とか見えるかなぁ?」

言い終わらないうちに駆け出してしまった唯に気付いたけどあたしの足は動かなかった。




せっかくこんないい場所に来たんだし、しっかり目に焼きつけよ。



「この景色気に入ってくれたみたいで嬉しいよ」


振り向くと、和希さんが立っていた。


「こちらこそ、連れて来てもらっちゃってありがとうございます!」

「いい機会だからね。1年生も今のうちに関係作っとかないと後々大変だからね〜」


仲良くなっとけよってことかな?

今日はそのきっかけを作ってくれた・・・ってこと、なんだろうな。


「そんな脅かさないでくださいよ〜!でも・・・そんなことまで考えてくれてるんですね」


和希は一瞬、ほんの一瞬だけ目を見開いた。が、すぐに取り直して、

「でしょ〜。見直した?」

と言って、いつものようにニコッと笑った。



それを遠くから見つめる視線にそのときのあたしは気付いていなかった。