思い・唯編





あたしはちらっと横目で友人、美里を見つめる。



言うべきか言わぬべきか…



彼らの言葉を振り返る。

二次会でのこと


「なぁ今年の一年なかなかレベル高くね?」

「俺も思った!何って言っても唯ちゃんだよ!!美里ちゃんも百合ちゃんも普通に可愛いし」

「よし、誰が最初に落とせるか賭けようぜ」

「あんたたちはそういうことしか考えらんないわけ?」

「んなこと言って、お前らもちゃっかり一年男子のケータイゲットしたくせに」

「バレてたか」

「じゃオレは唯ちゃんな」

「じゃ〜百合ちゃん、はバックがいるからまずいよな…」

「美里ちゃんは和希が一歩リードな訳だな。にしても遅いよな〜和希のヤツ」

「お穣のご機嫌が悪いわけだ、ハハ」

「ほっといてよ!」

「じゃとりあえずは夏の計画を練るか〜」



うわ〜こりゃホントに遊びのサークルだなぁ〜
あたしは慣れてるから平気だけど、美里とかこういうサークルで大丈夫かな…



唯はトイレから戻るに戻れなくなってしまい、影からこの様子を観察しているのだった。


そいうえば、他の一年はどこいったんだろう?

キョロキョロと辺りを見回すと、違うテーブルでぐったりしている一年団体、
百合・拓斗・恭一の3人を発見した。


「ちょっとあんたたち大丈夫?ほら百合もしっかりして!」

「あ〜気持ちワリ…俺そろそろ帰るわ……」

「待てよ恭一、俺も帰る。じゃ〜な、唯、百合」

「ちょっと2人で大丈夫?…って行っちゃったし。しょーがないなぁ〜、百合、送ってってあげるから帰るわよ!」

「んふ〜〜」


…ダメだ、完全に酔っ払ってる。



「あ〜ごめんね〜百合潰れちゃった?」


突然の声に驚き、あたしは声のした方に向き直った。
あれ、この人…一次会では見てないけど、どっかで……


「あっ!勧誘活動のときの…」

「ん?あ〜あの美人さん!新歓コンパ来てくれたんだ。俺このサークル3年の高柳玲。よろしくね」

「あ、牧原唯です。よろしくお願いします。えっと、百合とは知り合いなんですか?」

「百合は俺の幼馴染なんだ。家がお向かいさんでね」

「じゃぁこのサークル紹介したのって…」

「そ、俺。こいつのお袋さんにくれぐれもよろしくって言われちゃってね。こいつは俺が送ってくから唯ちゃんは心配しなくていいよ」

「でも、玲さん今来たばっかりじゃないんですか?」

「いや、俺はもともとこいつ迎えに来ただけだから。それにサークルってのは2年が主になってやるもんなんだよ。なんてね、フフ」

「そうなんですか…でも他の一年生もみんな帰っちゃったし、あたしもそろそろ帰ります」

「そうなの?だったらついでだし送ってってあげるよ。俺、車だから。じゃ、ちょっとあいつらに顔だけ出してくるから、お店の前で待ってて」



そうして唯は、無事玲に送られて帰った。




「唯?ぼ〜っとしちゃってどうしたの?」



!? いけない、ついつい思い返しちゃってた。。。
違う違う、今の問題は”あの会話”のことを美里に言うかどうかだってば!


…どうするか………
……



「……ううん…何でもない」


結局あたしの口はそれ以上開かなかった。
開けば美里はもうサークルに行かないかもしれないわけで…
でもあたしはあのサークルに行くことを望んでて…さすがに1人で行くのは心細いし…


ごめんね、美里…
もう少しだけあたしのわがままに付き合って