one more chance




望むこと――――
それは俺にとって二度とありえないことだと思ってた。








勉強は好きだった。
だからそれに打ち込んだし、それなりの成果も出ていた。
でも気がつくと俺は1人だった。


中学で初めて出来た友人は俺にとってかけがえのないもので・・・・・。
だから、アイツが行き着くところに俺もついて行ってしまった。



踏み違えてしまった一歩は、その後俺の人生を大きく変えた。
家族からも学校からも見放されて、もう信じられるのはケンカ仲間だけ・・・・。




けど、偶然出会ったお前に俺は救われたんだ。
どうしようもなくなっていた俺をお前はまっすぐ見つめてくれた。
人に心配されるのはすごく久しぶりで、歯がゆい反面どこか心地良かった。
こんな俺でもまだ心配してくれるヤツがいるんだって思えた。
だから俺、もう一度頑張ろうって思えたんだ。



お前に相応しい人になれるように。
俺が俺自身をもう一度やり直すために。


お前との約束だけは絶対に破らないと誓ったんだ。




なのに・・・
一番大事なときに俺はお前との約束を破ってしまった。


信じてくれていたのに、ごめん。
あんなに悲しそうな顔をさせて、ごめん。
約束を守れなくて、ごめん。






本当はお前に相応しい相手は俺なんかじゃないのかもしれない。
お前の周りには、もっといいヤツがいるんだろうから。




でも、一度触れてしまった優しさは、俺の中に熱く残って、未だ俺を締め付ける。
もうその暖かさを失うことなんてできない。




だから、いつかお前が話してくれた伝説に賭けてみようと思う。
もし、今日お前にあの場所で出会うことが出来たなら、もう一度だけ俺の話を聞いて欲しい。
お前を振り回してばっかのこんな俺だけど。
もうお前なしでは生きていけないんだ。
俺の心は隣にお前の温もりを求めて止まない。




今まで神なんて信じたことなかったけど・・・。


神様・・・どうか、この願いだけは聞き届けて欲しい。
お前を手に入れるためなら、俺はどんなことだってするから。




だから、どうかもう一度だけチャンスを――――