告白
告白というものは俺にとって不快なものでしかなかった。 俺の外見だけしか知らずに告白してくるヤツが俺はとにかく嫌いだったんだ。 「好きです」? 俺の何が「好き」だと言うのか。 俺の何をあんたたちは知っていると言うんだ。 何も知らないくせに勝手に俺を自分の理想の型にはめ込んで見られるのにはうんざりだった。 だから俺は、俺に告白してくるやつらには必要以上に冷たい態度をとった。 一部では「冷徹」とか「お高くとまってる」と言われていたのも知っている。 でもそのおかげで俺の周りに興味本位で近づいてくる奴らが減って、感謝すらしていた。 そんな俺を真正面から咎めたヤツがいた。 それは幼いころの淡い思い出を共有する人。 向こうはどうやら覚えていないようだったが、俺には忘れられない少女だった。 「葉月くん、相手の子の気持ちも考えてあげなよ」 あいつは俺にそう言った。 相手の気持ち? 相手は俺の気持ちを無視しているというのに、どうして俺が自分の気持ちを抑えてまで相手のことを考えなければいけないというのか。 最初はあいつの言葉に不満しか生まれなかった。 でもきっとそれは俺が「告白」の大変さを理解していなかったからだ。 今は、違う・・・・・・ 「告白」への恐怖、不安、切なさ・・・。 いろいろな感情を俺はもう知っている。 始まりは人それぞれだ。 確かに俺の外見で近寄ってくるヤツはいる。 でも、人を想う気持ちはきっとみんな一緒なんだと思う。 拒絶されたらどうしようとか、迷惑そうな顔をされたらどうしようとか。 抱える不安はきっと一緒なんだ。 だからこそ、胸に刻まれる傷跡・・・。 思い出す、彼女たちの存在。 俺に告白してきた人たちは、俺が今抱えているこの感情を乗り越えたのだ。 不安も戸惑いも全て受け止めて俺に告白してきた。 そこにはどれだけの勇気が必要だったことだろう? 初めて彼女たちの立場に立って考えることができた。 俺の言葉に彼女たちはどれだけ傷ついてしまったのだろうか。 俺は彼女たちに一番してはいけないことをしてしまった。 今ならわかる・・・・。 俺の何気ない一言が鋭利な牙となって彼女たちを傷つけたであろうことが。 そしてそれがどれほどの傷となるのかが。 今の俺ならもっと違う言葉が言える。 きっと俺に気持ちを伝えにくる人たちに言えると思うんだ。 「ありがとう」と――――――― |