バランス
恋と友情―――――― そのどちらも取れないわたしはただの我侭ですか? 夕日に染まる砂浜で、彼は言ってくれた。 「応援する」って・・・・・。 その瞬間、彼の中でわたしは『友達』というカテゴリーに入れられた。 どこから間違っていたんだろう? たまたま他の男の子と遊んでいたところを彼に見られた。 誤解されるのはイヤだったから、わたしは彼に告げたんだ。 「好きな人がいる」って―――――― ホントはね、あの言葉の中にはわたしのちょっとした勇気も混ざっていたの。 ずっと友達と恋愛の間を揺れ動いていたわたしはそのバランスをどうにかしたくて、ひとかけらの決意を込めた。 でも中途半端なわたしの告白は彼によからぬ誤解を与えてしまった。 「応援する」ってなに・・・・? わたしはあなたが好きなんだよ・・・・? 頭に大きな衝撃を受けたかのようにわたしは呆然と立ち尽くしてしまった。 そして、小さな誤解は日を追うごとに大きくなっていった。 わたしの幻の恋を心から応援してくれる彼。 つまり、わたしのこの恋は確実な一方通行なんだ。 それなのに・・・・・ もしわたしが彼への本当の気持ちを打ち明けたら、彼はどう思うのだろう? 自分が応援している子の好きな相手が自分なんだと知ったら? ・・・・・彼は愕然としてしまうかもしれない・・・・。 今までのように、側にいることを彼は許してくれるのだろうか・・・・? 彼の側にいられなくなるくらいなら――――― そんな思いで、わたしは偽りの恋を演じることを決めた。 演じ続けている限り、わたしは彼の側にいることが許されるのだから・・・・。 けれど、一度崩れてしまった恋と友情のバランス。 恋心を抑えて演じる友情は、果たしていつまで続けることができるのでしょうか? 日に日にあなたへの想いを増すわたしの気持ちは、あなたに受け止められる日を今か今かと待ちわびている。 溢れでる想いは今日もまた少しその重さを増した。 このバランスが崩れ去る日もそう遠くはない―――――― |